連載 衛生行政キーワード・126
新生児聴覚検査の実施
梅木 和宣
1
1厚生労働省子ども家庭局母子保健課
pp.486-489
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208913
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はじめに
新生児期に行われる疾病の早期発見を目的としたスクリーニングには先天性代謝異常等検査と聴覚検査(以下,新生児聴覚検査)がある.先天性難聴は1,000人に1〜2人とされ,極低出生体重児などの聴覚障害のリスク因子を持つ者だけでなく,出生時には何ら異常を示さない児にも聴覚障害はみられる.1998(平成10)〜2001(平成13)年度の厚生科学研究による18,204例の新生児聴覚検査の結果では,正常新生児からの両側聴覚障害は0.05%(2,000出生に1例),片側聴覚障害は0.09%であった1).
かつて聴覚障害は,1歳6カ月児・3歳児健診などで発見され,医療機関で診断された後,療育が開始されていた.1990年代後半に,生後6カ月までの早期に発見され,適切な支援が行われた場合には聴覚障害による音声言語発達などへの影響が最小限に抑えられることが明らかになり,また,新生児期に正確な聴覚検査が可能な検査機器〔自動ABR(auditory brainstem response),OAE(otoacoustic emission)〕が普及したこともあって,新生児聴覚検査が実施されるに至った.
聴覚障害を早期に発見して適切な療育を図り,聴覚障害による音声言語発達などへの影響を最小限に抑えるためには,全ての新生児を対象とした新生児聴覚検査を実施することが重要である.本稿では,新生児聴覚検査の実施に関して説明する.
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