特集 「早期発見」をめぐる課題
高齢者のがん検診
津金 昌一郎
1
1国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター
pp.112-118
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208828
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はじめに
がんは,細胞の遺伝子がさまざまな要因によって傷害され変化することが時間とともに積み重なって発生してくるものと考えられている(多段階発がん).そのため,最大のリスク要因は加齢である.「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ」1)による2012年のがん罹患統計に基づくと,40歳までにがんに罹患する確率は男性で1%,女性で2%にすぎないが,70歳までは男性22%・女性18%,80歳まででは男性42%・女性29%となる.そして,生涯では男性63%・女性47%となり,2人に1人はがんに罹患するものと推計される.すなわち,高齢者ががんに罹ることは珍しいことではく,ごく普通に起こることである.
がんの予防対策は,がんに罹患しないこと(一次予防)と,がんにかかっていても早期に発見して重症化や死に至らしめないこと(二次予防)である.予防対策は高齢者に限らず,若いうちから心掛けるべきことであるが,本稿では特に高齢者のがんの早期発見・検診の意義について述べる.
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