特集 地球温暖化対策—2020年以降の新たな国際枠組み
パリ協定—その特質と課題
髙村 ゆかり
1
1名古屋大学大学院環境学研究科
pp.966-972
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208791
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パリ協定の採択
2015年12月12日にフランス・パリで開催された気候変動枠組条約締約国会議(COP21. COP:Conference of the Parties)で採択されたパリ協定(Paris Agreement)1)は,地球温暖化(気候変動)問題に対処するために合意された,京都議定書の採択以来18年ぶりの法的拘束力ある国際条約である.
国際社会はこれまで1992年の気候変動枠組条約と,1997年の京都会議(COP3)で採択された京都議定書を基礎として,気候変動問題に対処する国際的枠組を構築してきた.しかし,中国やインドといった新興国の経済発展とそれに伴う排出量の増加,米国の不参加などを理由に,先進国のみに排出削減の義務を課す京都議定書の実効性が問われることとなった.こうした背景の下,全ての国が削減を約束する国際条約の作成を目指して2012年から始まった交渉の結果,COP21で合意されたのがパリ協定である.
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