視覚障害者の移動支援用具

　道を歩くとき，われわれは多くの視覚情報を処理しながら歩いている．前方に段差や障害物はないか，犬の糞が落ちていないか，車が来ないか，信号の色は？　案内表示に何が書かれているか，いくつ目の曲がり角か……．視覚を通して入ってくる膨大な「情報」があってこそ，われわれは不自由なく移動しているわけである．

　視覚障害者向けの移動支援用具というのは，移動中に利用するこうした情報を入手するための道具ということになる．このような道具には，誘導ブロックや音声式信号機などの環境側が設備するタイプのものと，白杖（はくじょう）や強力ライトなど，個人が利用するタイプのものがある．ここでは，後者の個人が利用できる移動支援用具のいくつかについて触れることにする．