特集 災害時の公衆衛生活動
原子力災害時の被災者の健康支援と保健医療活動
明石 真言
1
,
相良 雅史
2
1国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
2国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所
pp.677-683
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208508
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事故や災害はどれ一つとっても同じものはない,と言われる.しかしながら頻度が比較的高い事故や災害からは,その共通点からある程度の類型化は可能であり,そうされてきた.もちろん先人が言うように,災害は時代や文明と共に変わる.放射線や原子力の事故や災害は,その典型的なものであるが頻度は低い.もっと言えば重大な事故は起こらない,という安全神話に守られ,事故も決して様々なパターンが想定さていたものではなかった.放射線は,五感で感じとることができない.そのため,放射線事故対応は測定・計測機器に依存するが,2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故(以下,東電原発事故)は,地震,津波,放射性物質の環境への放出という複合災害であったため,その対応には様々な問題が提起された.本稿では,この事故対応での問題点と見直された原子力災害医療体制を,被災者の健康支援と保健医療活動という視点で考えたい.
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