特集 災害時の公衆衛生活動
岩手県沿岸被災地・応急仮設住宅の現状と今後の街づくりの課題
久保 慶祐
1,2
1岩手県 釜石保健所
2岩手県 大船渡保健所
pp.670-676
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208507
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仮設住宅:依然として大きな被災地の課題
今年の4月に発生した熊本地震は地域の家屋に大きなダメージを残し,応急仮設住宅の建設が急がれている.5年前の2011年に発生した東日本大震災津波の爪あとは依然として地域で大きく,2016年5月末現在,岩手県全体で21,973人の方が仮設住宅で生活しており,なかでも大槌町(人口12,395人※)では2,596人*,陸前高田市(人口20,199人※)では2,875人*もの被災者が,想定された使用期間(2年間)を大幅に超えて仮設住宅で生活している(※2016年1月1日現在の住民基本台帳人口,*2016年5月31日現在,岩手県復興局調べ).災害公営住宅や高台移転への転居も始まっているが,例えば陸前高田市は2018年度末までに現在の47の仮設団地を19か所に集約すると表明しており,今後さらに3年以上仮設住宅住まいを余儀なくされる人々がいることになる.
多くの仮設住宅は医療アクセスが悪く,生活面でも利便性の悪い地区に立地している.長期化した仮設住宅での生活が住民の身体的・精神的・社会的な健康状態にどういう影響を与えているのかを明らかにするために,岩手県釜石保健所および大船渡保健所において仮設住宅住民の聞き取り調査とアンケート調査を行った.
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