特集 災害時の公衆衛生活動
災害時の保健師の健康支援活動の発展と現在の課題
奥田 博子
1
1国立保健医療科学院 健康危機管理研究部
pp.658-663
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208505
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全国初の被災地外の自治体保健師による派遣支援が行われた1995年の阪神・淡路大震災から20年以上の月日が経過した.その後も,各地で頻発する災害時において,保健師による健康支援活動は定着したものとなってきている.しかし,2011年に発災した東日本震災は複数の県下に及ぶ広域災害であり,被災自治体の中には機能不全となったところもあった.また,福島県の原発事故の影響という未経験の対応に迫られ,5年が経過した今もなお,長期派遣を含めた支援が続けられている.
さらに,本年4月14日に発生したマグニチュード(M)6.5の熊本地震は,九州地域では初めての最大震度7の地震であった.初動対応を開始した2日後に,M7.3の本震に見舞われ,より深刻な被害の拡大をもたらし,熊本県,熊本市から国への保健師派遣の要請に基づいて1日当たり最大69チームの派遣保健師チームが,避難所対応をはじめ,要支援者調査や戸別訪問,役場の本庁や保健所の支援等,被災自治体のニーズに応じて活動を継続中である(5月末時点).
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