特集 自然災害と公衆衛生活動
新潟県中越地震と阪神・淡路大震災の比較から,災害発生時の保健師活動を考える
奥田 博子
1
1国立保健医療科学院公衆衛生看護部
pp.468-470
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100103
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相次ぐ自然災害による被害が続いた社会状況を反映し,各自治体主催の研修で災害時の保健師活動をテーマとした依頼が増えてきています.主催者側の研修のねらいや条件にもよりますが,「災害時の活動の実際はどうなのか」ということを感じたり,考える機会となるよう,演習を取り入れることがあります.地域の概況,災害設定と被害状況など限られた情報のもと,“あなたが被災地自治体保健師の立場だったら?”“県保健師では?”“他都市派遣保健師では?”とシミュレーションを実施します.「いきなりその立場と言われても,何から手をつければいいのか」「気になることは思い浮かぶが,どう活動していけばいいのかわからない」「活動の舵取りは誰がすべきなのか,できるのか」等々と,演習開始時には研修会場に戸惑いの空気が充満します.その「どうしよう?」という状況こそが,予期せぬ災害が目の前に立ちはだかった時の自分自身の姿なのです.
今年震災後10年を迎える阪神・淡路大震災では,私自身も神戸で被災し,全国からの派遣保健師のみなさんに支えられ,支援活動に当たりました.その経験を踏まえ,このたびの新潟県中越地震では,県庁や被災地を訪ねる機会をいただきました.一口に「地震災害」と言っても,地震の規模や特徴,行政のシステム,地域特性による差等,様々な点で違いが見受けられました.これらの比較を中心に,本稿では地震災害時の保健師活動の整理と,今後の課題を考えてみたいと思います.
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