視点
健康の社会経済的決定要因と健康づくり施策
福島 靖正
1
1厚生労働省健康局
pp.546-547
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208478
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普通の臨床医になるつもりで大学に入ったのだが,病気を治療するよりも病気になる人を減らすほうがいいと思うようになり,卒業後は公衆衛生を専門にしようと決め,卒業した年の7月から国立公衆衛生院で研究職として働き始めた.衛生人口学部(当時,部長は村松稔先生)で出生率の社会経済的決定要因の研究や家族計画の評価等の研究を行っていたが,研究者に向かないことが自分で分かり,行政に移った.行政は思いのほか水が合い,その後は一貫して公衆衛生行政に携わってきた.この間,いろいろな領域の仕事をしてきたが,その中から,健康づくりに関して昔話を交えながら,今後の方向性について気がついた点を少し述べてみたい.
1998(平成10)年4月に和歌山県庁から厚生省(まだ労働省と一緒になる前)に保健医療局地域保健・健康増進栄養課の補佐として戻ってきた.課内では,高原亮治課長のもと,これまで第1次,第2次と行ってきた国民健康づくり運動について,第3次を策定しようとしていた.次の国民健康作り運動は,米国のHealthy People 2000や英国のthe Health of the Nationを参考にしてよう,ということで,様々な議論が重ねられていた.
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