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第1土曜特集 健康危機への備えと対応――パンデミックと能登半島地震を踏まえた社会とシステムのあり方
社会と健康の視点から
危機時の “健康の社会的決定要因”
Social determinants of health in times of crisis
近藤 尚己
1,2
Naoki KONDO
1,2
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻社会疫学分野主任教授
2安寧社会共創イニシアチブ(AnCo)代表理事
キーワード:
健康の社会的決定要因(SDH)
,
健康格差
,
ソーシャルキャピタル
,
危機インテリジェンス
,
社会疫学
Keyword:
健康の社会的決定要因(SDH)
,
健康格差
,
ソーシャルキャピタル
,
危機インテリジェンス
,
社会疫学
pp.71-75
発行日 2025年4月5日
Published Date 2025/4/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293010071
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社会のあらゆる政策やインフラ,そして個人の貧困や孤立といった要因は,健康に強く影響を与える.これらは “健康の社会的決定要因(SDH)” とよばれ,健康格差を生み出す要因にもなる.社会の危機が発生すると政策やインフラの機能不全や破壊が生じるが,その影響は社会的に脆弱な人々に強く及ぶことで健康格差を拡大させる.また,そういった社会の構造自体が危機の原因ともなる.危機時の健康を守るためには,医療制度にとどまらない,幅広い政策がレジリエントになるように,平時よりSDHを踏まえた社会システムをデザインすることが求められる.また,危機発生時にSDHに関するデータを機動的に収集し,社会的に脆弱な集団も含めて集団ごとの被害状況の把握を可能とする “SDHに配慮したデータシステム” と,実働組織をデータ面で支援・マネジメントする “SDHに配慮した危機インテリジェンス部門” の発動が役立つ.有事にこれらを活用できるように,平時から仕組み化しておくべきである.

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