連載 [講座]子どもを取り巻く環境と健康・12
環境化学物質曝露による内分泌系への影響—(1) 甲状腺機能
伊藤 佐智子
1
,
岸 玲子
1
1北海道大学環境健康科学研究教育センター
pp.137-144
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208368
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胎児期は,内分泌系がホルモンかく乱作用を受けやすい.そのため,種々の環境化学物質曝露が母児の甲状腺機能へ影響を引き起こすことが示唆されている.本稿では,これまでの内外の報告をもとに,環境化学物質による甲状腺機能,特に出生時の児のホルモン値へ与える影響について紹介する.古くからクレチン症などの先天性の甲状腺機能低下症では,児の精神発達遅滞など生後長期にわたって影響を及ぼすことが知られているが,胎児期は特に中枢神経系発達では重要なシナプス形成時期であるので,化学物質による甲状腺機能への影響は児の中枢神経発達の面からも重要である.
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