連載 [講座]子どもを取り巻く環境と健康・8
胎児期の環境化学物質曝露が出生体重と生後発育へ与える影響
湊屋 街子
1
,
岸 玲子
1
1北海道大学環境健康科学研究教育センター
pp.719-724
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208286
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胎生期の種々の環境因子が,出生体重や健康に影響を与えることが懸念される.この20年ほどの間に,残留性有機汚染物質(POPs)や日用品等に含まれる化学物質への胎児期曝露が出生体重に及ぼす影響について,多く研究されるようになった.最近では,体内のPOPs蓄積レベルと肥満度の関連や,食品パッケージなどに使用されるフタル酸エステル類やビスフェノールA(BPA)の尿中のレベルが,子どもの肥満やBMIと関係することが報告されている.しかし,市場に出回る多くの化学物質については,まだ十分に理解されていない.本稿では,従来から出生体重への影響について報告の多い喫煙に加えて,環境化学物質の出生体重と特に肥満への影響について最新のデータを示し,胎児期の“obesogen(肥満源)”と呼ばれる化学物質の影響と今後の課題について考える.
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