予防と臨床のはざまで
健康格差—民医連T2DMU40 Studyから学ぶ
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.76
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208352
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前回に続いて多職種産業保健スタッフの研究会,さんぽ会(http://sanpokai.umin.jp/)の,今回は月例会の様子をお伝えします.日本でもすっかり浸透した感のある「健康格差」という言葉ですが,大手企業の産業保健スタッフにとっては,健康格差と言われても実感できない方が多いかも知れません.しかし,例えば生活習慣病でも,大企業と中小企業,単一健保と総合健保,都市部と地方,正社員と非正規雇用の差などについて話題が及ぶ時,その片鱗を感じるかも知れません.
全日本民医連・学術委員会と順天堂大学医学部総合診療科の共同研究「暮らし,仕事と40歳以下2型糖尿病についての研究(MIN-IREN T2DMU40 Study)」の報告書が2014年10月に完成し,若年糖尿病患者における社会経済状況のインパクトの大きさが日本で初めて明らかになりました.今回の月例会は,2015年10月8日に,この研究班メンバーから京都保健会理事長の三浦次郎先生と,多くの症例を提供して下さった大阪のぽらんのひろば井上診療所所長の井上朱実先生をお招きして,若年2型糖尿病を通じて我が国に進行しつつある健康格差について感じ,考える場にしたいという狙いで企画しました.お二人は私にとって20年来の恩師とも言える方で,研修医・大学院時代を通じてお世話になった民医連の糖尿病シンポジウムの主要人物であり,この共同研究への参加のきっかけでもあります.
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