特集 公衆衛生の危機
公衆衛生医師のアイデンティティの危機
白井 千香
1
1神戸市保健福祉局保健所
pp.44-47
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102637
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アイデンティティクライシスは,辞書によれば「自己同一性の喪失」を意味するが,そもそも若者が「自分は何なのか」「自分にはこの社会で生きていく能力があるのか」という疑問を持つことであるとも解説されている.公衆衛生医のアイデンティティクライシスに置き換えると,「公衆衛生(医)は何なのか」「公衆衛生(医)はこの社会でどんな役に立つのだろうか」といった不安に突き当たる状況であろうか.自らの過去を思い出すと,その不安が湧き上がってきたのは,公衆衛生医師としての実績経験が乏しい時期であったり,思い描いていたものが目の前の業務と大きなギャップを感じる時期だったりした.現在に及んでも,確固たるアイデンティティの上に立っているかというと,軸足がぶれていないか,確認しながらの毎日である.
公衆衛生医師の主な居場所である保健所がどのように変わってきたのか,公衆衛生医師はどんな立ち位置にいるのか,私見を述べる.
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