特集 社会と健康
歴史の中にみる社会と健康
多田羅 浩三
1
Kozō TATARA
1
1大阪大学医学部公衆衛生学
pp.751-754
発行日 1988年11月15日
Published Date 1988/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207810
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■はじめに
個々の人間の社会特性と疾病の罹患傾向の間に強い関連が存在することは,これまでにもいろいろなデータで示されている.
大阪市の各区別に35〜49歳の人の人口10万対の死亡率をみると(表1),男では西成区が793,港区が523,浪速区が512,女では南区が346,阿倍野区が318,福島区が262で特に高率であったが,一方,男では北区が224,阿倍野区が242,女では鶴見区が141,住之江区が136であり,同じ大阪市内でありながら,各区の間で死亡率に非常に大きな差がみられる1).昭和60年のデータについても,総数について西成区が404,浪速区が353,港区が301で高率であったのに対し,旭区では97,天王寺区が133という率であった.
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