連載 保健福祉システム管理論・1【新連載】
社会保障と社会福祉の理念と歴史
矢野 聡
1
1東京海上メディカルサービス
pp.823-827
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902802
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●連載をはじめるにあたって
高齢社会の到来は近年の保健婦(士),看護婦(士)職,その他の医療専門職を巡る状況に急激な変化をもたらしつつある。高齢社会の効率的医療資源および医療費の利用についての緊急な政策的焦点の1つは,在宅医療・看護サービスの向上とその普及である。この目的で設置された訪問看護ステーションも制度創設以来,設置数は全国的な伸びを示している。
しかし,地域における在宅看護を担う中心になるべき看護管理職,および看護職は,自らの専門性を広く介護・福祉の領域に適用させる機会を持たずにきた。あるいは,サービス中における医療,看護,介護の区分を明確にできないまま,今日にいたっていると言い換えることもできる。この原因の1つには,コメディカルと称される専門職の「社会を見る目の欠如」が挙げられる。極端に言えば,現実的制度理解,社会資源の活用技法や経営管理,意思決定の手段など,一般のサービス市場で行われている原理を学ぶ機会に恵まれず,その結果,与えられた機関ではじめから経験的に学んでゆかなければならなかったのである。
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.