特集 救急医療システム
救急医学教育の重要性
大塚 敏文
1
Toshifumi OHTSUKA
1
1日本医科大学救急医学科
pp.763-768
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207570
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■はじめに
昭和52年「救急医療対策事業実施要綱」が厚生省により発表されて以来,わが国の救急医療体制は急速に充実して来ている.救急医療施設の整備状況をみると,昭和60年3月現在では,休日夜間急患センター466施設,在宅当番医制712地区,二次病院群輪番制・共同利用型病院339地区,救命救急センター92施設となっており,急病や外傷を始めとする救急患者に対する診療面での対応は,一昔前のように救急診療に手を染めたくないという時代からみれば,格段の進歩がみられる.
しかし,一方現在に至るまで,わが国のほとんどの医科大学,医学部において救急医学に関する教育に対し,卒前および卒後教育の過程で,系統的な救急医学の講義はもとより,実施修練の場さえ与えられていないのが実情である.その結果,各地に開設されているこれらの救急医療施設のほとんどすべてにおいて,来院する救急患者はその疾患別の診療科の医師により診療されているのが現状である.
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