疫学ワークショップ・1
喫煙と健康
富永 祐民
1
1愛知県がんセンター研究所
pp.650-654
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207541
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
これまでに内外で行われた多くの疫学的,実験的研究から,喫煙の影響は広範囲に及ぶことがわかってきた.喫煙は喫煙者自身の健康を障害するほか,受動喫煙により周囲の非喫煙者の健康にも種々の悪影響を及ぼすことが明らかにされてきた1).そのため,喫煙は近年,重要な公衆衛生上の課題になっている.
喫煙は飲酒と共に嗜好の一つであり,長い歴史を有している.特に過去においては成人男子の喫煙は"ごく普通のこと"とみなされ,非喫煙者の方が"変り者"とされていた.しかし近年,喫煙の健康影響が明らかにされてから,肺がんなどの喫煙に関連した各種疾患の予防,健康増進などのために禁煙する人が増加し,日本でも"喫煙は悪"であり,"喫煙しないことはよいことである"という考えが優勢となってきた.喫煙が健康によくないことは大部分の喫煙者も認識しているが,喫煙の健康影響は十分知られていない可能性もある.本総説では喫煙の健康影響を整理,展望し,今後の公衆衛生従事者の喫煙対策に役立てたい.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.