特集 喫煙問題
喫煙と健康障害—文献解説
青山 光子
1
1名古屋市立大学衛生学
pp.786-793
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205964
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■はじめに
1964年,アメリカで公衆衛生総監の諮問委員会が「喫煙と健康に関する報告」を発表して以来,シガレット喫煙は大きな社会問題として広く関心が持たれるようになり,喫煙と呼吸器疾患,心血管疾患あるいは種々な癌発症との関連などについての研究が,世界各国で次々に発表されてきた.最近では,各種臓器への影響ばかりでなく,女性の喫煙による妊娠,出産に及ぼす影響あるいは出生児への影響についても種々な角度から検討され,その研究報告はきわめて多数に上っている.
今回,喫煙と健康障害について取り上げるに当たり,最近5年間に行なわれた喫煙の健康問題に関する研究の数と内容を,MEDLARS**により機械検索した.その結果,喫煙に関する医学的研究は約6,000件にも上ることが明らかとなった.これを臓器別にみると,図1のように,肺に関するものが最も多く,血管がこれに次ぎ,胎児,心,肝,胎盤,胃,腸管の順で,生殖器に関するものはきわめて少なかった.また,これを疾患および妊娠あるいは奇形についてみると図2のように,心血管疾患の報告が最も多く,肺疾患,悪性新生物,気管支疾患の順で,妊娠,奇形に関するものもかなりみられるが,全体の件数からみればやや少ない傾向であった.
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