特集 公害とその後
イタイイタイ病とその後
石崎 有信
1
,
城戸 照彦
2
Arinobu ISHIZAKI
1
,
Teruhiko KIDO
2
1金沢医科大学
2金沢医科大学衛生学
pp.523-529
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207515
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■はじめに
富山県神通川流域に多発したイタイイタイ病(以下イ病)の原因が,上流の鉱山から流出したカドミウム(以下Cd)であると指摘されてから既に久しい.昭和42年以降61年までに,富山県の認定審査会で認定されたイ病患者は,148名である.このうち127名が死亡し,61年12月末現在の生存患者数は21名である.要観察者は386名(その中には一度要観察を解除された後,再び判定されたものが含まれているので実数は319名)であり,115名が要観察の間に死亡し,さらに,イ病と認定された者,要観察を解除された者を除くと現在の生存者は23名である(表1)1).このようにイ病とは,現在も闘病生活を続けている患者が存在している疾患であることをはじめに明記しておきたい.
さて,これまでにイ病に関する研究論文は,多数発表されている2〜9).ここでは昭和50年以降今日までの研究結果の概要を述べて,現在の到達点と今後の課題について明らかにしてみたい.
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