特集 海外の公衆衛生専門教育—日本と比較して
日本の公衆衛生専門教育の現状と将来—国立公衆衛生院を中心として
古市 圭治
1
,
上畑 鉄之丞
1
1国立公衆衛生院
pp.180-184
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901850
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わが国の公衆衛生行政は,第二次世界大戦後,GHQ指導のもとで都道府県に衛生部が設置され,保健所再編をすすめることで行われた.その後,結核死亡の急激な減少,母子保健の改善などがすすむに従って,保健所の役割が様々に議論されるようになった.1970年代後半以降,高齢化や少産少子化への対応では,身近な保健サービスの場として市町村保健センターが設置されるようになり,保健所法にかわる地域保健法のもとで新たな展開の時期を迎えている.また,近年は地球的規模の環境汚染や食品の安全問題,大規模災害などへの危機対応など,新しい課題が登場するなかで,保健・環境分野の専門技術者の役割の広がりや生涯教育を含めた卒後研修の重要性がたかまってきている.
今日,保健所,市町村,衛生研究所など,地域保健の第一線現場には,表1に示すように数万人の保健・環境公務員が働いている.主な職種でも保健所,市町村を合わせた保健婦数は約25,000人,医師・歯科医師は約1,300人,獣医師,薬剤師各2,300人,管理栄養士1,200人のほか,食品衛生や環境監視,水道監視,廃棄物処理指導に従事する保健所,市町村の環境公務員数は約30,000人(うち専任約3,000人)であり,それ以外にも都道府県・政令市の衛生研究所には約3,000人の研究者や技術者が勤務している.
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