特集 思春期
思春期保健の動向
林 謙治
1
Kenji HAYASHI
1
1国立公衆衛生院衛生人口学部
pp.224-229
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207445
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ここ10年の間に社会情勢も大きく変容を遂げ,これに伴い公衆衛生上の課題にも大きな変化が見られた.例えば人口の高齢化,医療費の膨張から老人保健はかつてないほど重要なテーマとなり,これを受けて老人保健法が施行されるに至っている.一方,母子保健についても乳児死亡率が千対5.5までに下がり,世界に冠たる成果を築き上げた昨今であるが,このレベルを維持するための発想や母子保健対策の質的変換を図るべき対応が練られている.更に精神衛生の分野も近年大きくクローズアップされ,新たな対応が迫られている現状である.
結核など感染症を中心とした保健活動から,その後,環境汚染への取り組みへと移り,現在では「ケア」,「精神衛生」をコアとする対人保健にシフトするに至っている.また経済大国に発展したわが国の国際的責務から,近年政府開発援助(ODA)が著しく重要視され,その一環として開発途上国への感染症・母子保健対策の技術協力,中開発途上国を中心とした環境問題への対応協力など国際保健の確立が目指されている.
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