特集 思春期保健
思春期における心身の発達
林 謙治
1
Kenji HAYASHI
1
1国立公衆衛生院学校衛生室
pp.544-550
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206746
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■はじめに
最近のマスコミ報道をみると,1日とて思春期の逸脱行動に関する記事が紙面を賑わさない日はない.これらの事件が近年急増しているか否かの議論は別として,事件の内容はきわめてショッキングであり,大人の目にはあまりにも異様に映り理解し難いことばかりである.例えば中学生の浮浪者に対する集団暴行事件,あるいは生徒の暴力に怯えた「教師の登校拒否」など,以前ではおおよそ想像のつかないでき事がよく話題になる.
従来,思春期の問題は学校保健の領域で取り扱われてきたが,最近の様々な問題の内容を検討すると,家庭のなかにすでに大きな欠陥を持っていることが背景となっている場合が少なくなく,したがって問題の責任をすべて学校に押しつけるのはいささか酷であろう.そういう意味で思春期保健へのアプローチは,学校をはじめ家庭,地域を含めた包括的なものでなければならないと考えられる.
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