発言あり
アスレチック
生田 恵子
1
,
大塚 知雄
2
,
加納 克己
3
,
久常 節子
4
,
渡部 正
5
1東京都衛生局母子保健センター開設準備室
2神奈川県医師会
3筑波大学社会医学系
4国立公衆衛生院衛生看護学部
5神奈川県立栄養短期大学
pp.433-435
発行日 1986年7月15日
Published Date 1986/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207288
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近代文明社会への警告
周知のように,わが国の平均寿命は現在世界最長,乳児死亡率は世界最低であり,これらの指標でみる限り,わが国は「健康大国」と称することができよう.しかし,有病率は以前と比べ高くなり,病院に行くほどではないがなんとなくからだの調子が悪いと,半健康を意識する人たちは結構多い.その背景は様々な角度から考察できるが,その一つに"運動不足"があげられよう.都会の人たち,とりわけ中高年齢層の働き盛りの人たちの中に運動不足のために体力的な充実感がなく,十分に健康でないと意識する人が意外と多い.これらの人たちにとって健康な状態は,ただ単に病気がないということだけでなく,生き生きとし,体力的にも充実し,何事にも積極的に取り組めることをいっている,我々の住む文明社会は生活が豊かになり,便利になった反面,からだを動かす機会を著しく少なくしてしまった.例えば,マンションやデパートなどにおいても数階のぼるのに当然のようにエレベーターを使ったりするし,すぐ近くに出かけるにも,車を使ったりする.その結果,筋力が衰え,休力も低下してしまったといえる.ヒトは狩猟時代までさかのぼらなくてもごく最近まで,文明諸国においてすら生きていくために,あるいは生活をするために,からだを動かさなければならなかった.社会が文明化され,都市化が続く限り,運動不足状態は必然的に増加し,その不足を様々の方法で積極的に補おうとするであろう.それは無意識のうちの本能的な動物としてのヒトへの回帰でもある.
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