海外事情
自動車燃料のアルコール化がもたらす大気および健康に与える影響
津金 昌一郎
1
Shoichiro TSUGANE
1
1慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室
pp.705-707
発行日 1985年10月15日
Published Date 1985/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207133
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●はじめに
1980年に筆者が初めてサンパウロを訪れた際,鼻をつく刺激臭を感じ,それがアルコール自動車の排気ガスによるものであることを知らされ感心した覚えがあるが,当時はさして気になるものではなかった.しかし,1983年に再びサンパウロに降り立った時は,アルコール臭はかなり目立つものとなっており,その大気汚染としての意義に強い関心を抱いた.幸いにして,昨年,サンパウロ州環境公社(CETESB)とサンパウロ州立大学(USP)を訪れる機会があり,アルコール自動車がもたらす公衆衛生学的側面についての知見を得たのでここに紹介する.石油産出国でないわが国も,現在メタノール自動車等,他の燃料の導入が真剣に検討されており,この分野では世界に先駆けているブラジルの現状は大いに参考になると思われる.
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