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特集 気候変動と医療
気候変動により変化する大気汚染の健康影響
Health effects of air pollution changing with climate change
上田 佳代
1
Kayo UEDA
1
1北海道大学大学院医学研究院社会医学分野衛生学教室
キーワード:
大気汚染
,
短寿命気候強制因子(SLCFs)
,
森林火災
,
交互作用
Keyword:
大気汚染
,
短寿命気候強制因子(SLCFs)
,
森林火災
,
交互作用
pp.228-231
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290030228
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気候変動は大気汚染と密接に関わっており,複数の経路から相互に影響を与え,結果的に大気汚染曝露に関連する疾患を増加させる可能性がある.まず,気候変動に伴う降雨パターンの変化,気温の上昇によりもたらされる森林火災の増加や砂漠化は,火災由来の煙に含まれる大気汚染物質や砂漠粒子などの広域型大気汚染を増やし,呼吸器疾患,循環器疾患を増やす可能性がある.また,気温の上昇は大気汚染の健康影響を増強させることが近年報告されている.一方,気候変動の緩和策のひとつとして,黒色炭素粒子(ブラックカーボン)やオゾンを含む短寿命気候強制因子(SLCFs)を削減することにより,大気汚染による健康影響も減らす共便益(Co-benefit)をもたらすことが期待されている.日本では気候変動の緩和策とともに,大気汚染と暑熱との複合影響を考慮した対策が必要になる.
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