特集 小児の育成
小児の人格形成
平井 信義
1
Nobuyoshi HIRAI
1
1大妻女子大学児童学科
pp.329-333
発行日 1984年5月15日
Published Date 1984/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206861
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■はじめに
40年にわたる子ども研究の結果から,私は,乳幼児期において,意欲と思いやりとを育てておけば立派な青年になるという結論に達し,目下,人格構造とその形成の細かい部分を立証する研究に励んでいる.とくに,意欲と思いやりがどのように発達しているかと評価する方法を確立するための努力を続けているが,この方法がこれまでなかったために,この2つの人格の柱が親たちや教育者に見逃されており,その結果,人格形成にゆがみを作るような養育・教育が行われるという結果を招いているからである.つまり,これまでの養育・教育は,意欲に乏しく,思いやりの少ない子どもたちをたくさん作り出している.小学校において五無主義と言われ,その中の無気力,無関心無感動,無責任という状態は,意欲の乏しい状態を表現している.さらに現在,中学生や高校生に多発している登校拒否も,意欲が抑圧されるような養育・教育を受け続けてきたことに原因がある.
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