特集 公衆衛生の研家・教育・実践
公衆栄養指導の理論と実践
難波 三郎
1
Saburo NANBA
1
1川崎医科大学附属病院栄養給食部
pp.39-44
発行日 1984年1月15日
Published Date 1984/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206809
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■はじめに
公衆栄養の位置づけ
公衆栄養という言葉はかなり以前から,ある一部の栄養教育者の中で使われてはいたが,昭和48年,文部,厚生両省共管による管理栄養士養成課程のカリキュラムが交付されて,「公衆栄養」という課目が設定された.内容としては公衆衛生学,栄養指導,実践栄養学等の講義の中に含まれていたもので,ことさら新しいものではなかった.しかし,隣接分野での,医療と公衆衛生とか看護と公衆衛生看護といった対語もあるわけで,栄養活動をこれに準じて考えると臨床栄養と公衆栄養という区分もできるし,栄養指導はいずれの領域にも関わる重要な中味であると解せられる.これを図示すると図1のようになる.
ヒトは受胎し,妊娠し,出生し,発育成長し,成熟し,衰退し,やがて終焉を迎えることになるが,その間どの時期においてもよい栄養状態のレベルを保つことによって健康,生命は保たれる.また,よい栄養状態のレベルはすべての栄養環境条件によって確保されるものである.従って,健康と栄養は同義語として用いられる場合も少なくないのである.
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