特集 痴呆性老人のケア
老年期の痴呆性疾患の疫学と実態
長谷川 和夫
1
Kazuo HASEGAWA
1
1聖マリアンナ医科大学神経精神科
pp.358-363
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206708
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■まえがき
老年人口が全人口の7%を越える段階から,高齢化社会といわれるのであるが,わが国は1970年代に入ったとき,高齢化社会の仲間になったといえる.さらに21世紀にむかって,さらに人口の高齢化はすすみ,2000年では15.7%に入るといわれる.こうした人口の高齢化は,社会的に多様な問題を提起することになるが,精神医学の領域でも従来考えられなかった問題がおこりつつある.
大体老年期には,身体的にも,心理的にも,また環境的にも,精神の不健康にかかり易い悪条件がある.このために老人では若壮年者の3〜6倍の高い頻度で精神疾患にかかり易いとされる1).若年者の精神疾患罹病率が1.0〜1.5%とすると,65歳以上のもののそれは,3〜10%,と考えられる,これら老年期精神疾患のなかでも,痴呆性精神疾患は,高齢化とともに増加する傾向にあり,今後の対策がせまられている現状にある.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.