大学とフィールド
成人病発生の地域差を追求して—〈秋田大学医学部衛生学教室〉
加美山 茂利
1
Sigetosi KAMIYAMA
1
1秋田大学衛生学
pp.261-263
発行日 1981年3月15日
Published Date 1981/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206282
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●はじめに
衛生学・公衆衛生学は社会医学であり,応用医学であるとされている.前者はその目標であり,後者はその手段であろう.現実の社会生活(地域社会から国のレベルまで種々の社会があろう)における健康と疾病の状況およびこれに影響を与える因子の究明を行ない,その改善と予防が社会医学の目標とされる.そして,これら因子の追究や改善の方法の樹立には,基礎医学,臨床医学,さらに他分野の種々の研究方法が導入され,応用される.
衛生・公衆衛生学の学習や研究にフィールドワークが求められるのは,このような目標を遂行するためのモデルケースとしてであろう.それはあたかも臨床医学における症例研究と同様な意味を持つものである.したがって,研究の目的や方向によってフィールドにどのようなことを求め,またどのようなことを行なおうとするかが異なるのは,当然といえよう.ある場合には疾病の自然史の観察が目標とされ,ある場合には保健行政体制の変更による地域住民の健康状況の推移が観察され,また,より緊急に現実に迫った環境汚染の防止技術の適用が目標とされる場合もあろう.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.