特集 医師会活動とプライマリ・ケア
わが国におけるプライマリ・ケアの実践
渡辺 淳
1
Kiyoshi WATANABE
1
1日本プライマリ・ケア学会
pp.771-778
発行日 1980年11月15日
Published Date 1980/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206189
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■プライマリ・ケアとは具体的に何をさすか
ここで,プライマリ・ケアについての概論的な解説をすることは省略したい.誌面も少ないし,すでにわが国においてもこれについてはようやく多数の論文が現われつつあり,しかも外国では勿論のことであって,「プライマリ・ケアとは何か」を語る論文は,いちいち目を通すことさえなかなか難しいほど,次々と発表されているからである.また,筆者自身もすでに,このテーマでいくつかの論文を書いているからでもある.
筆者は現在,プライマリ・ケアを次のように定義している1).「プライマリ・ケアとは住民個人個人に対し,又地域乃至は職域の医療体制としてその地域又は職域の人々全体に対し,身近かな医療として存在し,その人々の疾病より健康に及ぶあらゆる医療,保健問題とともに,社会福祉,社会保障についても,一連のものとして,すべて包括的にとらえ,住民各自の参加を得て主治医として,又医療専門職として,主導的に行動し,すべての人々の個人的な幸福のためと,我々人類にとってより良い社会をつくるためとにのみ,医療業務を役立たせることをいう」.
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