特集 セルフケアを支援する
わが国におけるセルフケアの課題と展望
徳田 安春
1,2
,
町 淳二
3
1筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター
2水戸協同病院総合診療科
3ハワイ大学医学部外科学
pp.92-95
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102331
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個々人のセルフケアを決定する要因
日本の医療保険制度は疾病の治療のみを対象としているため,疾病の予防や健康づくりは各個人に委ねられてきた.個々人のセルフケアはさまざまな形で実行されており,各個人間の質的な差は大きい.個々人のセルフケアの質を決定する重要な要因には,個々人のヘルスリテラシーと,社会住民全体の平均的セルフケアレベルがある.
個々人のセルフケアは,その人のヘルスリテラシーのレベルに依存する1).ヘルスリテラシーの高い人は,健康的な生活習慣の維持に努め,健康診断やがん検診などへ参加する傾向が高い.一方,ヘルスリテラシーの低い人は,非健康的な生活習慣を放置し,健康診断やがん検診などへの参加割合は低い.ヘルスリテラシーの低い人は,病気を発症しても医療機関に正式に受診せずに,高額で根拠の乏しい民間療法などに流れるリスクも高い.ヘルスリテラシー向上のためには,義務教育から成人・高齢者までも網羅した,生涯にわたる健康教育が重要である.ただし,ヘルスリテラシーの高い人が必ずしもセルフケアの質が高くならないことも多い.「医師の不養生」がその典型例である.
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