特集 保健計画—組織と運営を中心に
保健計画の動向と課題
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.76-77
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205133
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Health Planning保健(医療・公衆衛生)計画が,各国政府の切実な政策的関心事となったのは1960年代以降であり,これは国連が開発10年 "Development Decade" の第1期として,経済と社会の均衡ある発展の推進を全世界にアピールした時期であった.WHOが創設以来,とりわけ1960年代以降,保健計画の推進にさまざまの努力を払ってきた経緯については,すでにしばしば本誌上でも紹介したところである.
最近10余年の間に,保健計画については計画技法の進歩とともに,真剣な試行錯誤の中から世界の諸国は多くの貴重な経験を集積してきた.そのアプローチは,それぞれの国の社会的,政治的諸条件を反映して一様ではなく,いわゆる "pragmatic approach" からsystems analysis的な "scientific approach" までさまざまであり,これらの特質,長短等については,WHOの刊行物に興味深くまとめられている.また最近では,保健の問題が初期の頃の経済発展の手段ないしは関連要因としての位置づけから,しだいに経済社会発展の本来の目的としての位置づけに深まりつつあることが注目されるが,最近の世界的な不況とインフレの中で,その前途はきびしいものとなっている.
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