今月の本
R.L.アンドレアノ・B.A.ワイスブロッド 著/日野 秀逸・日野 よし子 訳『アメリカの保健・医療政策』—アメリカ医療の特質と計画論をふまえた政策評価の基準
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院
pp.608
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205683
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医療の危機的な状況への対応は,今日,洋の東西を問わず,先進工業化諸国に共通する重大な政策課題となっている.人口老齢化,疾病像の質的変化,医療技術の革新,病院医療の高度化,医療費の高騰などは,各国に共通する要因であるが,保健・医療の諸制度はすぐれて歴史的,政治的な産物であり,今日の危機に対する各国のとりくみにも,鋭くそれらが反映している.
アメリカの医療はグローバルにみて,歴史的に制度的拘束の最も少ない代表例であり,またこれによって,すぐれた医学研究と医療技術の水準が確保されていることが注目される.しかし,その結果が今日のきびしいアメリカ医療の危機をもたらすこととなり,最も自由であった国に,今や最も強硬な政府的統制が導入されはじめていることは,誠に皮肉である.
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