特集 プライマリー・ケア
プライマリー・ケアの歴史と動向
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院・衛生行政学部
pp.230-232
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205357
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はじめに
最近primary health care(以下,PHCと略記)の問題が,急速に国際的関心を集めつつある.WHOの刊行物にも,従来の保健計画やヘルスマンパワー問題をふまえて,ソ連のfeldsher,各国の中級医療従事者,community health center,また近刊 "Health by the People" など,PHCに焦点を当てたものがこの2〜3年とくに目につく.1976年WHO西太平洋地域委員会の技術討議の主題もPHCであった.この討議の中国代表には,気鋭のbarefoot doctorが2人参加して,その報告が注目を集めた.近頃,筆者の許には,東南アジア,中近東,アフリカ,ラテンアメリカの新興諸国からPHCの報告書が少なからず送られ,各国の担当者の来訪を受けることも少なくない.また国内的にも,昨夏,佐久総合病院での農村医学夏季大学は「第一線医学」を主題に展開され,昨秋,Life Planning Center主催の国際セミナーでも「医学教育とPHC」がとりあげられている.
このように,最近のPHCへの関心は,世界の新興諸国において最も切実であり,爆発的人口増加と医療資源の絶対的な不足がその主要な動因であるにとは明らかである.
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