研究
地域における心身障害児の実態把握に関する研究—第Ⅰ報—既存の行政上資料の疫学的評価を基礎として
三宅 貴夫
1
,
池田 信己
2
,
松本 光江
3
,
村山 正子
3
,
堀江 紀
3
,
竹谷 博美
3
,
戸館 かづ子
3
,
末原 紀美代
3
,
伊藤 国子
4
,
芦沢 正見
4
1国立公衆衛生院専攻課程医学科
2国立公衆衛生院専攻課程環境科学科
3国立公衆衛生院専攻課程看護学科
4国立公衆衛生院疫学部
pp.645-653
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205270
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はじめに
心身障害児(以下障害児という)については,医学・福祉・行政の側からのアプローチがなされ,数多くの調査が行われ,それに基づく対策が加えられてきた.障害児の対象にはその事態の把握を欠かすことができないが,とりわけ,障害の生まれる要因を含めた実態の把握には,疫学的方法が必要となる.すなわち,母集団を明確に設定することによって,障害児の発生状況や実態がより的確に把握できるとともに,他集団との比較が可能になる.この疫学的方法による障害児の把握に際しての問題は,障害発生のメカニズムの多様性に加え,障害発生時期と障害の把握時期に隔りがあることである.いうまでもなく,発生要因を含めた障害児の実態把握には,疫学的調査方法のなかでもプロスペクティブ・スタディが優れている.神奈川県衛生部母子健康調査会はこの方法による調査を行い,その結果が公表されつつある.しかし,この種の調査の実施は,きわめて大がかりなものになり,多くの困難を伴うものである.
筆者らは,保健所における乳児・幼児健康診査(以下乳幼児健診という)を中心として,主に保健福祉行政の上から,日常的に記録されている既存の資料を利用して,地域における障害児の実態把握を試み,行政上の把握状況を調べ,資料の疫学的評価を行った.
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