連載 医療安全管理の実践・4
事故の実態把握
長谷川 敏彦
1
,
藤澤 由和
1
,
平尾 智広
2
1国立保健医療科学院政策科学部
2香川医科大学医療管理学
pp.684-690
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100669
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医療安全の院内体制を確立し,事故予防対策を進めるにはまず事故に関連する事象の実態を把握する必要がある.なぜならば,前回述べたようにリスクマネジメントとは危険の頻度と重篤度を掛け合わせた影響度を把握し,優先度を決めて介入するものだからである.今回は前回の連載で定義を試みた医療事故に関連する諸概念を用いて,医療事故に関する実態を主として統計を用いて分析してみたい.最後にこれらを統合して,事故をめぐる日本の病院の平均的な姿を描くこととした.
疾病予防の概念を用いた事故予防の考え方
公衆衛生の疾病予防法としては,1950年代にレベルが疾病の自然史に対応した1次予防「原因から絶つ」,2次予防「早期に発見して進行を予防する」,3次予防「疾病を治療しリハビリテーションを普及することによって障害を予防する」の3段階の予防対策を提唱している.医療事故にこの考えを応用し,それぞれの段階における問題点を浮き彫りにしてみたい.
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