特集 予防接種
副反応と救済—うける側からの期待
船川 幡夫
1
1日本女子大学家政学部児童学科
pp.630-632
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205266
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反応と副反応
予防接種に伴ういろいろの問題の中で,とくに,接種に起因した副反応が世の注目をあびている.その中には,必ずしも正確な意味での副反応とは考えられないような症状をも含めて,問題視されている場合もある.副反応とは,ワクチンそのものの中に存在する何らかの物質によっておこされた反応や,接種をうける個体側の心身の条件などによっておこった特異の反応であるといわれている.
元来,予防接種では,身体に固有に存在しなかった物質が,身体内に,しかも接種という異常な経路で侵入するものであり,それに対して身体が,何らかの程度の拒否反応を呈するであろうことは,むしろ当然であるといえる.このような反応は,予防接種に伴った,生理的ともいえる反応であって,一過性の局所の発赤,硬結,腫脹をはじめとして,全身的な発熱,倦怠感などとともに,大なり小なり疼痛を伴うものであろう.しかし,これらの反応の程度にしても,ワクチンそのものの性状や個体により,あるいは,個体の接種時の状況によって変化するものであり,実際には,副反応といえる状態と連続的な状態を現わすこともありうる.したがって,接種によってみられた個体の状態が,接種に伴っておこった単なる反応であるのか,ワクチンや個体の条件による副反応なのかの区別は,しばしばきわめてむつかしい場合があるといえる.
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