調査報告
生活保護に関する保健社会学的考察
崎原 盛造
1
,
仲間 隆子
1
1琉球大学保健学部保健社会学教室
pp.475-479
発行日 1975年7月15日
Published Date 1975/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205041
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1.沖縄県内で最も被保護率の高い粟国村の被保護世帯61世帯の突態と医療保障の一環としての医療扶助の機能についてケース記録から分析を試みた.
2.被保護世帯の特徴は単身世帯が多く,しかも高齢者世帯が54.1%もあること,働いている者のいる世帯は52.4%もあるが,現金収入のある世帯はその内23.0%にすぎず,所得水準が著しく低く,県内一般勤労者世帯の42.4%しかない.
3.被保護世帯の収入源は保護費のみは3%で,他は何らかの収入があるがその主なるものは老齢年金,恩給と仕送りである.
4.保護開始理由で最も多いのは傷病に起因する収入減であるが,その割合は県平均や全国平均に比較して低い.
5.85.2%の世帯に傷病障害者がおり,傷病障害が被保護世帯への転落となり,そのまま長期にわたって被保護層に固定してしまっている.
6.老年人口の増大に伴ない老人性疾患や農夫症が多く,現在の医療扶助では対応しえないことが明らかになった.
7.ケース記録だけでは疾病・障害が日常生活におよぼしている影響や相互関係について分析することは困難であり,他の方法を用いて詳細な分析を行なうことが必要であり,今後の課題としたい.
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