解説
米国の地域精神衛生活動について(2)—カリフォルニア州北部を例として
桑原 治雄
1
1三重県立高茶屋病院
pp.470-474
発行日 1975年7月15日
Published Date 1975/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205040
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保健所の訪問指導件数は年々増加して昨年度は10万人を超えたそうです.このことだけからみれば地域精神衛生活動は一見隆盛になってきたかのように見えますが,はたしてそうでしょうか.私個人の体験から言えばまったく前進していない,むしろ後退していると申せます.私は保健所在勤中も,また精神病院に勤務するようになってからも保健所の精神衛生担当医を行ってきました.それからすればはっきり言って現行のような拘禁的治療を主体とする精神病院--私立,公立を問わず--と少数の保健婦の年に1〜2回平均の訪問ではまず有効な地域精神衛生活動が行えるとは思えません.
けれども地域精神衛生活動は決して不可能とは思えません.また個人的体験を申して恐縮ですが,ここ5年間私が参加してきた和歌山県清水町の活動では——これは今年の公衆衛生学会に発表の予定ですが——努力してある程度の体制を取ればかなりのところまで精神医療の地域化が可能になりました.
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