連載 活動の中から
生活保護
吉田 幸永
1
1京都府日吉町
pp.620-621
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206280
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1980年4月○日,T地区のKさんから相談を受けた。Kさんの夫Tさん77歳がかぜをこじらせ入院した。「1日の差額ベッド代1900円×25日分を払ってきたので国保でたすけてもらえないだろうか」と言うのである。2人の息子さんは都会で世帯をもち年金だけでくらしている2人にとって,4万円は大金である。領収証をあずかり国保の係に相談をした。が,いわゆる差額ベッド料は給付外でどうにもならないと言った。
あずかった領収証を持ってKさんを訪ねた。広い家に灯が一つついたうすぐらい台所でKさんは1人でテレビを見ていた。なんともわびしい光景である。Kさんは上がれ上れと言って夕食の支度をしてくれた。「おじいさんが入院しやはってからな毎晩毎晩こうして泣いとるの」「……」「あれ,どないやったい?」「あれな,病院で聞いてみたの。そしたら病院の係の人が家族の方に一日1900円負担してもらいます,と納得して入院されたんです,と言うことやった…家族の方って誰がついて行かはったの」「うちの息子の嫁がついて行ってくれたんです」「そうか,そしたら1900円の部屋代のこときいて納得してはるのに,なんで払ってくれやはれへんの?」「そんなもん払ってくれまへんで」「なんで!ほんとやったら一緒にくらして親の面倒みんならんのに」「それがなあー,大阪で家を買うてそのローンに追われとるし,2人のこどもの学資もいるし,とてもとても」「そうか,そしたら,どうしたらよいやろな」
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