特集 食品汚染
食品添加物安全性確保のための手続—特に殺菌料を中心として
藤原 喜久夫
1
1千葉大学生物活性研究所
pp.367-373
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205020
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はじめに
従来食品に殺菌料として使用されていた,2-(2フリル)-3-(5-ニトロ-2-フリル)アクリル酸アミド(AF-2と略称)の発癌性の実験的証明を契機として,一般に食品添加物の安全性の確保に関する検討がますます厳しく進められるようになってきた.すなわち,1973年国立遺伝研の賀田1)は,大腸菌WP 2 try-株を被検菌として突然変異誘起実験を行い,AF-2に陽性の結果を見出し,発癌の可能性をも推測していたが,当時必ずしも一般には認められなかった.しかしながら,翌1974年国立衛試の池田らが,この物質によりマウスの前胃に腫瘍の発生を認めたと報告されるに至り,食品衛生調査会は,これを食品に使用することを禁止する意見を具申し,その後関係法規が改正されて同年9月から全面的にその製造,使用が停止された.
本稿においては,このような前例を念頭におきながら,これからの食品添加物の安全性確保のために必要な手続きについて若干検討を試みてみよう.
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