調査報告
喫茶との関連における農村婦人貧血因子についての一考察
山田 重行
1
,
加瀬沢 信彦
2
,
櫻井 信夫
3
Shigeyuki YAMADA
1
,
Nobuhiko KASEZAWA
2
,
Nobuo SAKURAI
3
1浜松医科大学衛生学教室
2静岡健康管理センター
3浜松医科大学
pp.863-866
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900245
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これまで,鉄剤の服用に際して習慣的に茶,コーヒー等の摂取を禁じてきているが,このことは,これらに含まれるタンニン酸が鉄と不溶性塩を作り鉄吸収を阻害することによるといわれている1).渡辺らは2),鉄欠乏性貧血患者において鉄剤の経口投与時の鉄吸収に及ぼすタンニン酸および緑茶の影響を検討し,これらが鉄吸収を抑制することを報告している.Farkasも3),茶を多飲する習慣が鉄欠乏に関連していることをカナダ原住民の調査結果をもとに報告している.
農村婦人に貧血傾向が強いにとは,農村保健問題として重視されてきているが4),これらの改善は幾多の努力が重ねられたにもかかわらず著しく困難なこととなっている.筆者らは,農作業では多量の発汗があり,農家では一般に茶を多飲する傾向がみられ,茶作農家では茶を換金する一方,自家用としても多用する傾向が見られることから,農村婦人貧血の要因として今まで看過されてきた喫茶の影響を想定した,そこで,農村婦人貧血と喫茶との関連性を考察するため,茶作農家婦人を対象とした血液検査と茶作地帯での茶の消費量調査を実施した.
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