特集 親子
過保護
平井 信義
1
1大妻女子大学児童学科
pp.550-551
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204902
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過保護とは,保護の過剰である.過剰というからには,一定の保護の必要量があって,それ以上に保護が行われた場合を言うことになる.そうなると,保護の必要量をはっきりさせておかなければならない.幸い,子どもの生活習慣の形成については,年齢別の状態が示されている.すなわち,衣・食・睡眠・衛生上の習慣などについて,1歳ではどの程度か,3歳ではどうか--などが示されており,普通の子どもであれば,5〜6歳になればほとんどの生活習慣が形成され,子どにまかせることができる.それらの形成の状態より遅れを示す子どもの場合,とくに母親やその他の家族に依存している傾向が認められると,過保護ではないかと疑われることになる.
過保護とは,どのような態度を指して言われるのであろうか.大別すると,2つになる.ひとつは,子どもの自発的な行動に先がけて,手を貸す養育態度である.例えば,上衣を着ようとしている子どもに対し,子どもにまかせておいても独りでできるのに,手を貸して着せてしまう態度である.従って,そこには,子どもの能力に対する信頼感がない.子どもにまかせられないという心の動きがある.赤ちゃん扱いにしているのであって,強い言い方をすれば,子どもをバカにしている態度と言うことになる.
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