巻頭随想
過保護
石原 一子
1
1高島屋東京支店営業五部
pp.9
発行日 1967年11月1日
Published Date 1967/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203474
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誰だって親である以上子供が幾つになっても,できる限りのことをしてやりたいと思うのは当然のことである.といっても子供が成長して社会に出るようになっても,一人前に扱わず,いつまでも親の保護が必要だと考えるのは,あきらかにゆきすぎである.大学の入学式について行く親,会社の入社試験にまで連れ立ってくる親,このままでゆくと,結婚式の後の新婚旅行にも心配でついて行く親が出現しないとも限らない.一体これは何が原因なのだろうか.
家庭というのは,厳父慈母という言葉があるように,社会的訓練によって客観的な目を持ったきびしい父親と,ただ主観的に子供を可愛がるやさしい母親との相反する愛の形によって,子供はバランスのとれた成長をしてきたのだと思う.
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