特集 公衆衛生教育
アメリカにおける公衆衛生教育
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.740-746
発行日 1973年11月15日
Published Date 1973/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204750
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今日,世界的にみて公衆衛生活動は,社会・経済・政治の激しい変化のなかでそのあり方を問われている.これは公衆衛生従事者の教育訓練にもそのまま反映し,国によってさまざまの新しい試みが導入され,あるいは経済発展段階の相違などによって,変則的な形の採用もみられる.一般に公衆衛生従事者の教育訓練については,undergraduateとpostgraduateのレベルが区分されるが,今世紀初頭以来のSchool of Public Health(Sch. P. H.)の発展に示されるpostgraduateの系統的な公衆衛生の教育訓練システムも,今日ではとくに社会主義諸国等ではかなり形が変っており,一義的にSch. P. H. として論議することが適当であるか否か,を考えねばならないような実情にあるといえる.
アメリカ合衆国は,フォーマルなSch. P. H. を最初に創り出し,また今日においてもその原型がますます発展せしめられている国である.日本もこの点については,1938年ロックフェラー財団の援助によって公衆衛生院が設立されて以来,アメリカ的なパターンをとり入れ,とくに戦後はアメリカの影響は教育制度全般について一段と大きくなった.さらに1960年代以降の社会・経済の激動のなかで,国民保健についても,アメリカのそれと同質の問題が少なからずみられるといってよい.
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