特集 アメリカ公衆衛生200年
アメリカ合衆国における公衆衛生の発展
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.742-749
発行日 1976年11月15日
Published Date 1976/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205289
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1976年7月4日,友邦アメリカ合衆国は建国200年の記念すべき日を迎えた.200年といえば,日本における近代医学の端緒とみられる『解体新書』が,杉田玄白らによって刊行されたのが1774年であるから,アメリカの独立宣言はおよそその頃のことである.当時イギリスは,アークライトの水力紡績機の発明(1769)を契機として,まさに産業革命の嵐と怒濤の時代に突入しようとする時期,フランスは大革命の前夜であった.
近代公衆衛生活動は,産業革命を契機とし,"疾病と不潔と貧困の悪循環"に対する社会的規模の戦いとして勃興したものであり,当然ながら,先進国であるイギリス,ドイツにその先駆がみられる.しかし,これが今世紀に入って,特にアメリカ合衆国で輝かしい発展を遂げ,また第2次大戦後には,世界的にみてもアメリカの公衆衛生が大きく貢献していることは,よく知られている.
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