資料
岩手県大船渡市における腸チフスの流行
腸チフス中央調査委員会
pp.66-71
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204609
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昨今のわが国における腸チフス発生状況を通覧するに,冬期において比較的広範な地域に及ぶ流行が毎年繰返されていることに気づく.そしてその要因としては牡蠣が検討の対象となることがしばしばである.本委員会はすでにこの種の流行を本誌上で紹介し1,これに対する対策が腸チフス防疫上焦眉の急を要することを指摘した.ここに紹介する流行もまた同じ範疇に属するものと考えられるふしがある.
流行の中心舞台は岩手県南端に位する小都市大船渡市である.同市では1970年1月に3名,3月に1名の患者が発生し,その内3名から分離された菌がすべてB2型であることから,明らかに一つの流行に属するものであると想定され調査がすすめられた.しかし原因をつきとめるには至らなかった.その後は1971年4月に1名(B2型),8月に1名(疑似)の患者発生を見るにとどまり,小康を得ていたが,本1972年の1月に入るやB2型菌による患者の発生が相つぎ,3月未には患者数は十数名におよび,ふたたび注目を集めるに至った.
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