講座
婦人労働(10)
嶋津 千利世
1
,
原田 二郎
2
1群馬大学教育学部
2杉野学園女子大学短期大学部
pp.329-332
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204478
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2「高度成長」と婦人労働
1947年ころは,婦人労働者の産業別分布をみるとその大部分(47.7%)が紡織工業に集中していたことがわかる.この傾向は60年にもみえていた.繊維工業に働く婦人は,31.1%,「衣服,その他の繊維製品製造業」の5%をくわえると36.1%となる.69年になると,繊維工業に働く婦人は19.0%となり,「衣服,その他の繊維製品製造業」もくわえると25.7%,全体の4分の1以上をしめてはいるがこのような変化のなかで「金属製品製造業」「一般機械器具製造業」「電機器具製造業」「輸送用機械器具製造業」「精密機械器具製造業」の5業種にあつまる婦人の量は22.3%から31%にふえ,婦人労働者の産業構成がかわったことをしめしている.これを「労務者」女についてみると事情はいっそうはっきりする(ただし,ここでつかっているのは『工業統計表』60年と69年のものであるが,前者は4人以上を対象として集計され後者は20人以上と19人以下にわけて集計しているのでここでの比較はごくおおまかなところしかわからない).つまり,60年の調査では全繊維産業では39.6%,5業種合計は19.9%であったが,69年には前者が28%,後者が32.8%となった.
また,この間に,男子労働者にたいする婦人労働者の比重も増加した.『工業統計表』によると,60年から69年までに全産業では34.8%から36.8%に増加した.
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