発言あり
健康増進
N
,
T
,
S
,
O
,
H
pp.279-281
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204467
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健康増進のための研究をさかんに
最近,大きな事業所には,センパワーセンター,健康開発センターなどを設けるところが増えてきている.もともと,公衆衛生の終局の目標は,ひとびとを病気にかからないようにする,というのではなく,より健康な毎日を享受できるようにすることにあるのだから,健康を増進させようとするこのごろの風潮は好ましいことに違いない.
しかし,具体的にどう健康増進させたらよいのかということになると,公衆衛生が案外無力であることに気づくのである.毎日の食物組成はどうあらねばならないのか,いわゆる体力づくりのための鍛錬はどうしたらよいのか,ミクロコスモスとしての衣服はどうあったらよいのか,日本人の快適作業温湿度はいくらで,季節によってどう調節したらよいのか,というような知識は,栄養,体操,家政,建築などの専門家の経験によるところ大で,深い研究はほとんどない有様である.公衆衛生という実践は厚い研究に支えられてこそ一層有用であり,実験室内の研究者にこの際,疾病防御の研究も大切であるが,健康増進のための研究に興味を持たれるよう訴えたい.
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